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江戸独楽の魅力は曲独楽の重厚さと色彩の美しさにあります。専門の芸人が、刀の刃の上や、開いた扇子の上で独楽を回す等の曲芸を披露する時に使うのが曲独楽です。
日本で曲独楽が最初に作られるようになったのは、博多であるといわれています。元禄時代、上方で市太郎という少年が博多曲独楽を回して大評判になりました。やがて江戸でも博多曲独楽が人気を博し、享保年間(1716〜1735)から幕末にかけて、多くの大道芸人たちが曲独楽の芸を演じました。それに伴い江戸でも独楽作りが盛んになりました。これが江戸独楽の起源のようです。江戸時代に経済力のある商人がスポンサーとなって東北からやって来たろくろ職人に作らせたともいわれています。特に文化文政期(1804〜1830)に盛んに作られるようになり、この時代に江戸独楽は技術的にも成熟されたようです。
しかし、その後江戸独楽は徐々に衰退し、限られた職人たちの手で伝統的技術が細々と継承されてきました。
平成10年頃の時点で、江戸独楽師は全国でも10人といないと云われていました。私が昭和60年前後に西武デパート所沢店で出会った小宮耕生さんもその中の一人です。自らを独楽職人と呼ぶ小宮さんは元中学校の社会科の先生。ある師匠筋にあたる独楽師に出会い、民衆の心に深く宿る高度な手作りの芸術に魅せられて独楽師の世界に入ったとの事です。
小宮さんの作品にWe love
the earth part 1 という創作独楽があります(右カット写真)。これは太陽と地球と鳩を組み合わせた独楽で、地球の平和を表現した作品です。地球の円形美、回転美が独楽の魅力の原点であると考え、独楽を通して人々に夢を与え、人々の心をときめかせたいと独楽作りに挑んでいるとの事です。
宮沢賢治は宇宙の素晴らしさを文章によって表現し、人々に感動を与えました。小宮さんは、地球の素晴らしさを独楽によって表現し、人々に感動を与えようとしているようです。

昔ながらの江戸独楽のほか、音の出る鳴り独楽、占い用の独楽、その他いろいろな創作独楽も作っています。独楽について以下のような事を教えていただきました。
独楽の材質は軽くて固い木が良いが、ツゲ、ツバキなどは高価すぎる。一般的にはカエデ、ミズキ、タモなどの広葉樹の他、カツラ、スプルスなども大物用に使われている。独楽はバランスが生命なので、狂いの大きい桜などは独楽には向いていない。また狂いは少なくてもバランスがよくない黷煬かないとのことでした。
木の乾燥度については、木によって異なるが、よく使われる5寸〜6寸のミズキの丸太で最低一年は必要。生の木は使えない。かつ、木を切る時期は冬であることを絶対条件とするとのことでした。
私も弟子入りして自分だけの独楽を一つだけでも作りたいのですが、残念ながら無理なようです。
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