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手作り独楽(森偉之輔氏)
Part-1
独楽
alt 独楽連続回転世界記録保持者の作品だけあって、さすがによく回る。三角形、十字形、四角形などの変形独楽もみな良く回る。右写真の真ん中の大きな独楽(直径14,5cm、高さ11cm)は私のように素人が回しても3分30秒以上回る。ダンボール紙に木製の軸を刺しただけなのに不思議とよく回る。ダンボールの周囲に針金又は鉄輪を巻くことと、出来上がった独楽に画鋲を何回か差し替えてバランスをとるのがコツらしい。
 皆さんも一度挑戦してみたらいかがですか。

                     以下は森偉之輔氏ご自身の解説です。
       手作り独楽の作り方と遊び方
コマ回し世界記録を達成した後、子供たちに作って遊んでもらうためのコマをいくつか創った。丸コマ、三角コマ、紙コマなどである。そのことについて、概要の紹介をする。紙製で、壊れやすく、はかないものではあるが、工作が体験できること、バランスや回転時間の関係を総合的に学ぶのには好適であると思って、子どもサイエンス教室で使っている。

1.丸コマ
alt 丸く巻かれた針金を一重または二重にしてダンボール紙に取り付けたものと、太い鉄輪をダンボール紙に取り付けたものと二種類ある。回転時間を競うのに好適である。
 コマの回転時間は周辺に取り付けた針金や鉄の巻き直径と重量が増せば長く廻る。これらに比例して回転時間が長くなるかというと、軸の摩擦損失や空気抵抗のためにそうはならない。そのことについて学ぶために、色々な直径や重さのものを作って、結論は子供たちに考えさせるようにしているつもりである。実際にはそこまで突っ込んだ応答を実技で示す子は非常に少ない。摩擦とか空気抵抗とか、グラフ表示とかの周辺の理論や技術の学びなしに、子どもが長く廻るコマを作りたいという興味だけに頼って、子どもから素晴らしい能力を引き出そうとしてもそれは無理である。時間をかけて付き添ってアドバイスしながら色々な形、重さのこまを作ってみて理解を深めることが必要である。実際は時間の制限があって難しいことではある。巻き直径が13cm、12 番線の針金(直径約2.1mm)を使う場合一重で2.5分、二重で4.5分くらいである。廻す台はデコラのような滑らかな平面か(電気コタツの上板)メガネの凹レンズの上で廻すか、フィルムケースの底面の窪みを使っても良い。平面が一番良い。ダンボールは3〜4mm程度の厚みのものを使う。あまり厚いと空気抵抗が増して長時間の回転は望めない。軸とコマ体は上下から鍔できつく挿み固定する必要がある。軸とコマ体とは直角にしなければならない。そのための補助具(冶具jig-)を考案した。補助具の効果を発揮するには軸の長さとダンボールの厚みが固定されてくる。子どもはこの補助具の上でないと組み立てを行うことは難しい。
「のり」は工作用の「のり」を使ったが、軸の固定には、セメダインを使う方が良いかもしれない。またダンボールを丸く切り出すにはサークルカッターが良い。カッターの歯は新しいものに取替え、薄く少しづつ、切りを深めること。一度にきろうとするとセンターがずれたり、切り口が二重になったりして、最後のバランスを取るときに、難しくなる。カッターは市販のものでよい。 軸は市販品の4mmの木製を使っているが、木製品は曲がっているので要注意。できれば5mm径が軸とコマ体との固定には良いであろうけれども穴をあけたり工作が難しくなる。鍔を二重にして補強すると良い。小生は既に4mmで鍔を大量に作っているので今更の変更は難しい状況である。


2.三角コマ
alt 文字通りの三角形と、十字形や正方形、これらの変形こまの変形などを創ってみた。正三角形、正方形、十字形などのように中心軸から見て軸に対象のものは、創りやすく、バランスも取りやすい。正三角形の一辺の長さは9cmとし他の形状はこれと大きさが見合う寸法にしている。2.5mm程度の厚さのダンボールの各辺に14番線(直径1.8mm)の針金を伸ばして取り付ける。これに対して二等辺直角三角形や3:4:5の辺の長さの三角形、頂角が30度、60度、90度の直角三角形は、書いた順に難しさが増す。細長の二等辺三角形では静的なバラ ンスを上手くとっても回転させると、ある回転の速さ以下になるとバタンと倒れ長時間の回転持続は期待できない。廻すのには大人は中指の腹(指紋のある部位)の上に立 たせて廻すと面白い。尖った形状ほど下が透けて見えて美しい。平面でも廻るが尖った頂角の先端部分が接地して早く止まる原因になる。安定した回転を得るにはコマ体より下の軸の長さを短くすればよいが、接地の問題があり制限がある。鍔の厚みや尖らせる長さを考えて、1.2cmくらいが良い。出来上がったコマは、初めはバaltランスが悪い。そこでどちらが軽いかを見きわめて軽いほうに画鋲をさす。画鋲は周辺に近いほど効き目が大きい。画鋲でバランスが取れたら、画鋲の針はダンボールの厚みに合わせてカットして固定する。
 
最後のバランス調整はコマ体の下面に厚紙を張り付けて行う。始めはバランスが大きく崩れていると、コマは全くじゃじゃ馬のようにユビにも乗らない。正しいバランスに近づくと劇的に静かに回転するようになる。この作業がもっともエキサイティングなところで、コマつくりがやめられない理由でもあるが、完全を求めると一晩掛かることもあり、ほどほどの妥協も必要である。コマの大きさはある程度大きいほうが作りやすい。それはダンボールと言う非一様の材質の構造に穴をあけると位置が定まらず誤差を生じるからである。ベニヤ板などで形状や穴位置のモデルを作っておくと楽に出来る。上から張る模様紙も構造の一部となるもので、位置決めが重要である。模様紙に書く模様も大切である。画才の無い小生は幾何学的な渦模様と同心円模様を用いたが、ほかにも考えると日本の伝統的な模様や色の使い方に面白いものがあるのではないかと思う。軸は4mm径の市販の木製である。

3.紙製こま
altコマが軽いので軸は市販のつま楊枝を短くして使っている。コマ体は工作用の厚色紙でこれに針金に変えて別の厚紙を下から張り付けて、補強と慣性モーメントの増加に使っている。何重にも張るとそれだけ構造もしっかりするし、回転の時間も長くなる。もし菓子箱のように厚さが1mm近い厚紙が入手できると、これが使いやすいが、小生 のように宇宙少年団の児童50名分ともなると、厚紙を揃えることが出来ないのが悩みである。市販の工作用紙を張り合わせるのが、手間は掛かるがカットもしやすく使いやすい。軸を紙に直角に固定するにはやはり上下から鍔できつく挿みつける必要がある。鍔は菓子箱のような厚紙を見つけたときに切り取り2mmの穴をあけてから、5mm角に切り取っている。紙があったとき大量に作っておく。この部分の接着にはセメダインが良い。コマは外力ですぐに変形するので百円ショップでプラスティックのケースを買いこれに入れておくと安全である。糊が完全に乾く前に、紙と軸の垂直を出しておく。この場合、組み立て補助台を二個使って鍔を押し込むと良い。紙コマは丸コマだけを考えた。三角コマにすることも可能ではあるが、元々回転時間が短いので、正三角形や正方形にするとますます短くなり、興味が薄れるからである。ただ適当な厚さの厚紙があれば、やってみたいと思う。

4) 独楽作りの道具
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丸コマ、三角コマの工作で重要な道具に組み立て補助木枠があります。軸と本体の垂直を出したり鍔の貼り合わせに欠かせぬ道具です。こういうものを工具とは別に冶具と呼ぶ場合もあります。道具=工具+冶具 生産会社がしのぎを削っているのは冶具です。工具と言うのは市販されています。


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